態勢は整った!②
今オフのジャイアンツ関連のニュースで1番筆者が驚かされたのは、実は脇谷亮太が育成契約に切り替えられるという記事を読んだ時だった。
齢30、開幕戦で2番セカンドでスタメン出場していた選手がイクセイって・・・?筆者が見た記事にはたまたまその事実しか記載されてされておらず、更には円谷英俊も育成契約になると知って、あっけにとられた。彼らがいずれもケガで早期の復帰が見込めないゆえの処置と知ったのは少し後で、シーズン終盤に明らかに内野が手薄にも関わらず、その補充が為されなかった理由がようやく理解できた。
事情はわかったものの、しかし事態は深刻である。内野手特にセカンド、ショートを守れる選手の層が決定的に薄くなった。シーズン途中に育成から昇格した山本和作もケガで育成に逆戻り、ドラフトの補強も内野手は高校生が1人指名されただけ。前西武の石井義人を獲ったのは理解できたが、よく調べてみるとこのところの石井はファーストしか守っておらず、むしろ左の代打として期待されての入団らしく、事態の好転には全く役に立たない。そんな中で、発表された高口のロッテからの移籍は本当に胸をなでおろすニュースだった。
心もとないのはキャッチャーも同じである。鶴岡、高橋信(登録は内野手だったが)が去り、信二を獲った時に、星孝典を西武に出してしまっていたから、途端に参ってしまった。古田敦也が健在な頃のヤクルトがそうだったが、主戦捕手の存在があまりにも大き過ぎると、2番手、後継のキャッチャーを育てるのが、極めて難しくなる。楽天をクビになった中谷仁を獲ったものの、支配下登録の捕手はこれでもわずか6人。
守りの要である主戦捕手である上にキャプテン、更に今季はついに4番の重責を担うことになりそうな阿部慎之助へのチームの依存度はいよいよ増すばかり。彼の負担を少しでも軽くする為には、バックアップのキャッチャーの存在が必要不可欠なのだが、今の陣容だと実松一成が2番手、その後が加藤健ということになろうか。市川友也がなかなかファームでもレギュラーが獲れず、むしろ3年目の21歳鬼屋敷正人に期待する声も高いが、打撃力に非凡なものがあるやには聞いているが、とりあえずファームで確固たる地位を築くことが先決だろう。
内野に話を戻すと、現状ではファースト小笠原道大、セカンド藤村大介、サードが移籍の村田修一そしてショートが坂本勇人、これで決まりだろう。原監督としては、競争原理を煽って、特に藤村あたりのケツを引っぱたきたいところだろうが、残念ながら、彼ら4人とそれに続く選手達との力量が違い過ぎる。古城茂幸、寺内崇幸が後に続く候補だろうが、確かに2人とも1軍には欠かせない戦力ではあるが、レギュラーを狙うまでの力はない。ましてそれ以降の選手は残念ながら、彼ら控えにすらかなり離されていると言わざるを得ない。
ガッツの昨年は不本意の一言、今年にかける意気込みは相当のものだろう。しかし彼クラスの選手になれば、今年は必ずキッチリ、アジャストして来るはずだ。確か今年で2年契約が切れる、ラミレスの去就を見ていた彼が心中どんな思いかは想像に難くない。原監督には、妙なプレッシャーをかけずに、ガッツにはじっくりと勝負させて欲しい。彼はとっかえひっかえで起用するレベルの選手ではない。そうすれば絶対にチームの勝利に今年はまた、充分に貢献してくれるはずだ゛。
セカンドのピノくんの課題はとにかく打撃力アップ、本人も言っていたが、2番打者があれだけ三振していては困る。原ジャイアンツ待望のレギュラー二塁手の誕生、更なる成長を期待したい。
順風満帆だった坂本の野球人生で、昨年は試練の年となった。打撃も守備も壁にぶち当たった感のある昨年は更なる飛躍のステップだったのか、それともラビリンスへの入口だったのか。6年目24歳の年男、ヤングジャイアンツの代表たる彼も、気が付けば藤村や澤村といった同年や後輩の選手が徐々にではあるが増えて来た。今年の自主トレはあえて他チームの宮本慎也の門を叩いた坂本。まずは守備から鍛え直し、そんな思いなのだろう。今年はたくましさを兼ね備えたニュー坂本を是非見てみたい。
結局レギュラーを固定できずに苦労した昨年、正三塁手を求めるジャイアンツと優勝争いできる環境を渇望していた村田はまさに相思相愛だったと言えよう。新生DeNAの残留要請を振り切って、あえて新天地に身を投じた村田、心中期するものはなみなみなるものがあるはずだ。しかし過去、乞われてジャイアンツのユニフォームに袖を通しながらも、その重圧に押しつぶされてしまった選手は決して少なくない。あえて厳しい書き方をすれば、2年連続のホームラン王も今は昔の話である。原監督は彼を「5番」に据えると表明した、求められるのはチームの勝利を決定づける打点そしてホームランである。彼が07、08年当時の輝きを取り戻せるか否か、大袈裟ではなく、今年のジャイアンツの浮沈はここに懸かっている。
ラミレス、サブローが去っても、尚多士済々の外野陣。「2年目のジンクス」を跳ね返し、首位打者を獲得した長野久義には、今年は3番定着の期待がかかる。ルーキー当時、伊原ヘッドコーチを嘆かせた安定しない守備力も、昨年は格段の成長を見せ、ゴールデングラブ賞に輝いた。本職のライトに加え、センターもどんと来いの頼もしさ。チーム事情で今年も忙しく両ポジションを掛け持ちすることになりそうである。
長野以外はまだ決定していない残りの2つの椅子。昨日入団が正式に決定した前フィリーズJ・ボウカーがその第一候補になるのだろうが、やっぱり当てにはならない。原監督は今年から正式に外野に転向する大田泰示の起用も示唆するが、「ひいきの引き倒し」にならなければいいが。
村田の入団に白旗を挙げ、スゴスゴと外野に引き返そうとして怒られた亀井義行、D1ルーキー松本竜也の入団で今年から「松本哲」と表記されることになる松本哲也。この2人の「元レギュラー」の奮起はどうしても今年の戦いの上で欠かせない。
もちろんレギュラー奪還にこれまた意欲満々の高橋由伸、なんだかんだ言ってこの人を起用しておけば、まず間違いはないはずという安心感なら断トツの谷佳知は健在。足のスペシャリスト鈴木尚広、大道なき後の「必殺仕事人」矢野謙次。そして尚広、哲也の存在を脅かす機動力、更には意外なパワーも見せた大田の同期橋本到は昨季は8月以降、1軍ベンチで頑張り通した。このハイレベルの争いに勝ちあがって、今年こそ日替わり定食のような起用に終止符を打つレギュラーの誕生を期待したい。
今更ながら、昨年のジャイアンツは打てずに負けた。補強ポイントの第一は当然、そこにあったのだが、それが果たされたのかは、実はかなり疑問である。
村田とラミレスの昨年の成績は似たようなものだが、しかし正直に書くと、打者としての潜在能力はやはりラミレスの方が上だろう。サブロー、信二は去り、ボウガーはなんと言っても未知数。その他に即戦力のルーキーや移籍組も見当たらない。
ただ、ラミレスの守備力と逆に穴だったサードが埋まったという事実。そしてその存在感を完全にカバーできないにしても、それなりに外野にはタレントがいることを総合して勘案すると、チームのバランスシートとしてはやはりプラスになっていると筆者は判断する。
更に統一球の影響で異常な貧打に泣いた昨季とは違い、プロたるもの、ガッツのところでも書いたが、今年は対応をキチンとしてくるだろう。ただ、それはジャイアンツの打者に限らず、他球団の打者連も同じだろうから、そうなると強力な2枚の投手を補強して、投手陣の充実を図ったのもまた間違っていなかったはずだ。
むろん、泣きどころが全くないわけではないのは縷々書いて来た通りだが、弱点が完全に埋まることは有り得ず、セの他球団がほとんど目立った補強をせず、逆に主力選手の流失や首脳陣の交代などで、むしろチーム力を落としていると見える球団も多い。大型補強が実らずに無駄になることが多いと揶揄されるジャイアンツだが、今オフの補強ははっきり理にかなった、チーム力を確実に向上させたものであったと評価したい。
戦力という絶対面からも、他球団との比較と言う相対面からも、今年のジャイアンツはセリーグの中で、一頭抜けた存在となったはずだ。その意味でも桃井球団社長が言う通り
「3年連続のV逸は許されるものではない。」
のである。それでも勝負に絶対はない、原監督以下首脳陣、そして選手各位、準備万端怠りなく。そして今年こそ、秋に歓喜の原監督の胴上げを、期待しております!!
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