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2008年5月 6日 (火)

豊、ファイト!

武豊という人はよくよく「3連覇(連勝)」というものに縁がないらしい。メジロマックイーンの春の天皇賞3連覇を目指した93年春の天皇賞はライスシャワーの2着、99年に当時まだ、どの馬も成し遂げていなかった秋の中長距離距離GⅠ3連勝をかけて、スペシャルウイークで臨んだ有馬記念はグラスワンダーの2着。翌年、エアシャカールで挑んだダービーは自身の3連覇がかかっていたが、アグネスフライトの2着、そして今回、メイショウサムソンの天皇賞3連覇がかかったレースでまた2着である。

それにしても、武騎手は勝負弱くなった。一昨日の天皇賞、あの展開で差し返されて負けるなんて、かつての武では考えられなかった。まして、相手が絶対負けたくないと思っているに違いないあの冠の馬だったというのに・・・。

かつての蜜月が嘘のように、今や不倶戴天の敵とも言っていい武とアドマイヤ軍団。なにが原因かは諸説あるが、彼らが決別してから1年になろうとしている。その間、武はアドマイヤの馬に手痛い敗北を喫してきた。特に、距離適性から死角がないと思われた昨年のJCと今回の敗戦は痛恨ではないか。

2005年、ディープインパクトで颯爽と3冠を達成したあの年をピークに武の成績は下降線をたどり始めた。翌年、それまで3年間維持して来た勝ち星200勝ラインを割り込み、そして昨年は出だしから絶不調。岩田康誠、安藤勝己騎手に大きく水を明けられ、一時はリーディング絶望とまで言われたが、夏のローカルで驚異的な巻き返しを見せてリーディングは死守したものの、年間の主役は安藤に奪われた感があった。

そして今年は勝ち星こそ順調に伸ばし、現在快調にリーディングトップを走っているが、一部に「善臣病にかかった。」と揶揄されている。柴田善臣騎手は、何年か関東リーディングを続けて取った頃でも、午前中の平場のレースはよく勝つが、午後のメインに近づくに従って影が薄くなってしまうパターンが多かったが、それと似ているというのである。

確かにあの不調と言われた昨年ですら、同時期GⅠ1勝を含む重賞6勝をあげていたというのに、今年はわずかに2勝。人気を背負ってぶっ飛ぶケースが目に付く。勝ち星も勝率も遥かに上にいきながらも、既に重賞5勝の岩田に獲得賞金で後塵を拝し、安藤にも大して差がつけられない理由がここにある。

逆に特に今年に入ってからのアドマイヤ軍団の勢いはすさまじい、重賞を勝ちまくっていると言っていい。武が去った後のアドマイヤの主戦に収まったのが岩田であり、そして安藤であり、もう1人が売り出し中の若手の川田である。

今年に入って早々、アドマイヤの近藤利一オーナーから武に対して、手打ち、すなわち再騎乗の打診が為された。ところが、武の返答は即答でノーだったという。近藤は武の騎乗を批判して、すべての馬から武を降ろした。見かけのソフトさとは裏腹に、1度こうと決めたら絶対に考えを変えない武は自分の騎乗をとやかく言った素人に頭を下げる気など毛頭なかったようだ。

なんだかんだ言って武が可愛かった近藤も思わぬ彼の反応に激怒、完全な縁切りを決意し、現在に至る。武とともに今や騎手御三家を形成する岩田と安藤をがっちり抱え込んで、武なにするものぞで突っ走っている。

武としては意地でもアドマイヤの馬には負けたくない、自分を敵に回したことを後悔して、地団駄踏ませてやろう、そう思っていたに違いない。しかし現実は完全に逆に出てしまっている、豊と縁を切ってよかったと近藤は高笑いしているであろう。

かつて、武の前には、彼に乗ってもらいたい有力馬の関係者が門前群れを為していた。しかし、今状況は大きく変わった。彼を可愛がっていたベテランの調教師が相ついで姿を消し、代わって登場した若手調教師の中には

「いつまでも武豊ばかりでは競馬界の発展はない。」

と公言する者もいるという。乗りたい馬に乗り放題に近い状態だった武は、多くの騎乗依頼をソデにしてきたわけで、その時、厩舎スタッフとして煮え湯を飲まされた思いだった連中が、今調教師になっていて、一種のアンチ武の空気を醸成しているらしい。

傲慢という言葉とは程遠い武でも、こうなるのだから人間社会というのはむずかしい。しかし、今までが順風過ぎたのであり、彼の腕に期待し、また信頼する関係者がまだまだ多いのも事実である。あの童顔に惑わされがちだが、武も来年もう不惑である。しかし、第一人者の地位を手放すにはまだ若すぎる。

安藤、岩田そして内田博幸・・・武を脅かすとされる存在がみんな地方からの移籍組というのも寂しい話だが、武にない豪快さ、荒々しさをもつ彼らをねじ伏せてこそ、武もまた階段を上ることなるだろう。武豊のこれからのGⅠ戦線での活躍に期待したい。

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