まだまだ、先はこれから
先日の民主党代表選の際、立候補挨拶に訪れた鳩山由紀夫に対して、党最高顧問の渡部恒三はこう言ったそうだ。
「いよいよ、吉田と鳩山、孫同士の対決だな。」
昭和20年代後半の政界を彩った吉田茂と鳩山一郎の政権の座を賭けた文字通りの「死闘」は、もはや歴史の1ページであるが、今読み物として読んでも、その迫力は胸に迫って来るものがある。まして渡部翁は、当時早大雄弁会の重鎮だったはずで、多感な「政治青年」として、この戦いをまさに、血湧き肉踊る思いで眺めていたに違いない。
戦後の復興、混乱期に長きに渡って政権を担い、一時代を画した吉田がついに下野を余儀なくされ、変わって鳩山が悲願の政権の座に就いてから、もう半世紀以上の時が流れた。紆余曲折を経て、吉田の孫と鳩山の孫が、政権を賭けて対峙する、それは確かに、因縁を感じないではないが、世襲批判が今更なぜか、急激に高まりを見せる今日、白けた気分を味わってもいる。
あの時、もしこんな制度があって、吉田と鳩山が国会で対決したら、さぞかしド迫力のバトルが繰り広げられたに違いないと、ふっとそんな詮のない妄想にかられながら、昨日の党首討論を見た。爺さんと孫では随分役者が違っていたのかしれないが、しかし我々国民は、後4ヵ月の間に、この両者のどちらかを国のリーダーとして選ばなければならないのである。
2002年以来、鳩山は実に7年ぶりにこの舞台に「復帰」した。この制度の発足時の民主党代表だった鳩山は小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎という3人の首相を相手に論戦に挑んだのだが、まぁ目を覆うばかりの有様だった。対小渕というのは、正直全く記憶にないのだが、まさに口から生まれたような森には屁理屈で言い負かされ、すかされ、確かに時流に乗っていたのかもしれないが、小泉にはその迫力で常に圧倒されていた。対する鳩山は、その性格からか気迫もなく、切り返しの術も持たず、空しく敗退するのが常であった。今でこそ、自民党総裁たる首相と野党第一党民主党代表の一騎討ちの場となった党首討論だが、当時は他野党党首にも発言権があった。
が、彼らの持ち時間は数分であり、現実にはなにもできずに終わっていた。まぁ自由党党首だった小沢一郎はともかく、あとの共産党委員長志位和夫と社民党党首だった土井たか子が、時間さえあればもう少しまともな議論を挑めそうな人物だっただけに、いっそ彼らに時間を譲ったらどうかと思う程であった。とにかく、鳩山には野党のトップとして不可欠な与党に挑みかかる、追い詰めるという姿勢も迫力も、そして能力も欠如しているとしか思えなかった。この人がリーダーでは政権交代など絶対に無理、筆者は嘆息したものである。
そんな人物が、党首討論に帰って来た。筆者は正直、憂鬱だったが、月日が鳩山を変えたのか、それとも相手の質が落ちたのかはわからないが、思ったよりは頑張っていた。が、半年前の麻生ー小沢戦もそうだったが、自分の言いたいことをただ言い合っているだけで、「討論」の名にふさわしいかは、今回も疑問に思わざるを得なかった。それに西松問題の傷は覆い隠すべくもなく、小沢の代表代行就任と更に「一連托生」と言いながら、結局鳩山が、後任に納まった経緯を鋭く突いた麻生の発言には、筆者もうなづけるものがあった。その辺は麻生が技ありだったかなとは思うが、政策論議の方は冴えず、今日のところはどちらが優勢、あるいは得点を稼いだというレベルではなかったのではないか。
まぁしかし、党首討論の生みの親と言われながら、逃げ回っていた前任者と違い、鳩山は大いにこれからもやろうと言い、麻生もそれに応じていたから、これから4ヵ月(筆者は任期満了選挙だと思っているので)、我々国民の前で、是非丁々発止とやり合っていただきたい。そう言えば、その前任の方は、党首討論など我関せず、この日も地方の空の下だったそうだ。記者団の問いに
「僕は選挙担当、他のことは他の人に聞いてよ。選挙のことならいくらでも話すから。」
と、ある新聞によると「にこやかにかわし」、別の新聞によると「にべもなく言い放った」そうだ。逮捕されていた秘書もようやく釈放され、いよいよ俺は選挙三昧ということらしい。そんなもんなんですかねぇ・・・。
ところで最近「安倍元首相」なる人物の発言が、度々マスコミで取り上げられるようになって来た。よくわからないのだが、安倍という名の首相経験者は筆者が知る限り、恐らく1人しかいないから、たぶんあの人のことなのだろう。無責任極まりない政権放り出しからまだ2年も経っていないのに、またぞろ動き出し、なにやら発言したり画策しているやに仄聞するのだが、この人物には「恥」という観念がないのだろうか。どの面下げて、今更偉そうなゴタクな並べ、またマスコミも無批判にそんな人物の発言を垂れ流しているのだろう。本来なら首相辞任どころか、議員も辞めるべきであり、だとすれば、せめて次の選挙の洗礼を受けるまでは「謹慎、蟄居」すべきが普通の感覚だと思うのだが、いいがなものか?
ま、要するにどっちもどっちってことですかな、ア~ァ・・・。
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