もはや手段は選ばず
17日の水曜日に行われた麻生太郎首相と鳩山由紀夫民主党代表による2回目の党首討論を
「麻生首相は遅まきながら、冷静かつ誠実に説明責任に努めていたが、一方の鳩山代表は相変わらずのスローガンの羅列に終始していた。」
と評したのは産経新聞だった。しかし、これはあくまで自民党命、というより民主党をひたすら嫌い、そして足を引っ張ろうという趣旨で一貫している産経ならではの見方であり、実際のところは、政治家の中では稀有なほどの演説、討論下手の鳩山が、余裕を持って麻生をあしらったと言って、差し支えないだろう。過去にないくらいに落ち着いた雰囲気で行われた今回の討論は
「ハコ物ではなく、国民一人一人の生活を守る為に、予算を使う政治。」
と切々と訴えた鳩山の主張はなかなか心に響いてよかったと思う。一方の麻生は相変わらずの財源論、筆者はこの論争は前々から不毛だと思っている。だいたい野党に、与党と同じような完璧な裏付けのある財政政策を求めることに無理があるし、片方は税金の無駄遣いが一杯あると言い、片方はそんなものはほとんどないと言い張る以上、その決着をつける方法は、あると言っている方を政権の座につけ、やらせてみる以外に検証の方法がないからである。そして国民は「ある」と言っている方の勢力に、軍配を上げつつあるように見える。そして唐突に「第七艦隊うんぬん」とのたまいだして、失笑を買っていた姿は哀れですらあった。
前回も書いたが、麻生首相の命運は尽きようとしている。いや2月に郵政民営化にもともと反対だったと言ってしまった時点で、本当なら終わっていたはずだったのに、その後敵失から、一瞬蘇生したように「錯覚」しただけだったのである。もはやその権威は与党内にもほとんどなく、総裁選の前倒しや、信任投票を求める声が公然と吹き出しているだけでなく
「都議選で負けたら、あの人だってわかっているだろう。」
などという発言が、公然と語られるに至っては、もうどうにもなるまい。だが、麻生はこれまででも、自民党がこれまでとはまだ決まったわけではない。少なくとも彼らはそう思い、そして必死にあがいている。
彼らの希望の星はやはり「小沢一郎」。西松裁判が始まり、冒頭陳述で検察は小沢事務所がいかに、岩手を始めとした北東北の公共事業に対する影響力を保持していたかを語り、対する被告の西松建設前社長も事実関係を争う姿勢をみせないことから、再び小沢への、ひいては民主党への風当たりは強まりつつある。更に鳩山にも故人から献金を受けていたという不可思議な事実も発覚し
「政治と金の問題は、当然今国会後半の重要なテーマとなる。」
と自民党が張り切るというかつてない情景が現出している。
が、これが前回のような劇的な効果を挙げるかは、疑問も残るところで、まず検察のとにかく小沢ありきの姿勢に対する疑問、批判もまた高まってきており、それが自民の方に跳ね返ってきかねず、更に小沢その人が既に民主党代表の座を退いてしまっていることも、かつてほど、小沢攻撃に迫力を与えない。現に民主党は、これは小沢個人の問題という姿勢を強めており、世論がそれをどう判断するか?そして、なによりも致命的なのは、麻生が日本郵政のゴタゴタで、国民の信用を決定的に失っており、もはや麻生が今のままの地位にとどまっている限り、なにが起ころうと、形勢逆転の目は100%ない。
静岡県知事選は野党分裂、都議選は民主が首都東京で意外なほどの不人気で、麻生はまんざら希望を捨ててないらしいが、ここで連敗するようなら、もはや有無も言わせず、引き摺り下ろされるだろう。その前に、一か八か解散などという説もあるが、もはや麻生にそんな力があろうはずがなく、麻生と心中する気など、もとより自民党にはない。
自民党はやる、間違いなく総裁交代=首相交代を。舛添か、野田か、小池か石破かそれとも中川秀直かはまぁ知らないが、絶対にやる。民主党が小沢から鳩山に党首を替えただけで、ここまでの形勢逆転を成し遂げた以上、自民党にも可能性はある・・・かどうかはともかく、新首相の下で10月に総選挙、決まりだろう。静岡知事選と都議選のどちらかでも勝ったら案外自民党さん、困るんじゃないですかい?
一連の鳩山邦夫の言動は、後への野心があまりにもミエミエで、全く関心が湧かなかったのだが、彼が三木武夫の名前を出して、改革を叫んだとなると、今後の言動には、ちょっと興味をひかれる。所詮は民主党政権阻止を訴えている以上、筆者にとっては、敵であることは間違いなく、ただ、自民党さんの方で勝手にごたついてくれる分には、まぁウェルカムというところであろうか。そうだ、ヤケッパチついでに、自民党もいっそのこと由紀夫-邦夫の兄弟対決でも実現させてみたらどうだろう、ワッハッハッ。
今日は父の日。筆者にとって2度目にして、上の息子の最後の保育参観が昨日あった。自分の子供を見てというより、今年幼稚園に入ったばかりの年少児を見た時に、その成長を強烈に感じた。そしてその後、実家に父のご機嫌伺いに行ったのだが、リタイヤして1年、すっかり威勢が影を潜めてしまった父の姿は正直寂しかった。人間はやはり、平等に年をとる、それは嬉しいことであり、また悲しいことでもある。そんなことを実感した1日であった。
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