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2009年9月 8日 (火)

自民党はどこに行く?

そのニュースを聞いた時は思わず耳を疑ってしまった。

「自民党、新総裁選出が間に合わず、16日の特別国会での首班指名選挙で麻生現総裁に投票」

ギャグにしては相当センスが悪いなと思ったら、どうやら本気だったらしい。あまりの惨敗についに頭に来たのかと、唖然として眺めていたら、さすがにあまりにみっともないということに気づいた連中がいたらしく、総務会では反対が相次ぎ、それでも一旦は執行部は押し切ったものの、結局はこの件が沙汰やみになったのは、自民党の為には大変喜ばしいことではあった。

が、事はそれでは終わらない。じゃあ誰に投票するのだ、という問題が残る。幹事長説が麻生に投票するのとなにが違うんだと一蹴されてしまうと後は百家争鳴と言えば、まだ聞こえがいいが、要は誰にも妙案はなく、加藤紘一の総裁選挙管理委員長案という奇説が鼻で笑われるに至って、ついに出た結論が「白紙投票」・・・。いやはや前途は多難である。

それにしても自民党支持者や苦杯をなめた多くの自民党衆院選候補者達がやりきれなかっただろうと思うのは、自分達をここまでの苦境に陥れた張本人とも言える連中が、結局は続々と生き延びてしまったことではないか。「一将なって万骨枯る」という言葉を地で行くような結末であった。

麻生太郎は選挙後の会見やインタビューで今回の歴史的惨敗について

「積年の自民党に対する不満を払拭することができなかった。」

と繰り返した。そこにはこれは俺だけのせいじゃねぇよ、という麻生の自己弁護が思いが多分に含まれてはいるのだが、しかしそれは全くその通りである。

麻生の言う「積年」がどのくらい前からのことを指しているかは定かではないが、少なくとも4年前の郵政選挙での大勝以降、自民党は公明党と組んで、特に参院選で敗北してからこの2年の間、大袈裟でなく「神をも恐れぬ所業」を繰り返して来た。今日の事態を迎えたのは、全く持って自民党自らが招いたものであり、そこには一片の同情を寄せる余地もない。

4年前、小泉純一郎のワンフレーズに酔って、踊った有権者にも問題はあったのだが、その大勝を背景に小泉がやったことは、先に廃案となった郵政民営化4法案の復活、可決だけであり、それが選挙後1ヵ月でほぽ片が付くと、あとは腑抜けのようになって1年を過ごし、自民党総裁の任期切れを理由に退陣して行った。

それはそれで、潔い去り方と言えなくはなかったが、あれだけの国民の支持を得ながら、早々に政権の座を去るというのは、無責任とも言えた。そして、重大なのは小泉の成功を実感した自民党は

「総裁には『選挙の顔』となるべき、すなわち国民の人気の高い人物を担ぐに限る。」

という大きな錯誤を抱くこととなった。ポスト小泉の総裁レースが、早々に安倍晋三の独走となったのは、ひとえに安倍の人気にすがって、いや利用して次の選挙も楽々と勝ち抜けたいという議員のさもしい根性の賜物に他ならない。そこにはその人物の首相としての適性や資質など、全く議論の対象にもならなかった。

人気と実力は決してイコールではない。若さへの期待が、やがて実力と修練不足の馬脚を現し、失望に変わっていくのに、さほど時間は要さなかった。選挙の顔として擁立されたはずの安倍の言動が明らかなマイナス要素になって、敗退した07年夏の参院選以降の自民党は、あたかもブレーキの壊れた暴走機関車の様相を呈した。

すべての始まりは、安倍の厚顔無恥な居座りにあった。その居座りを自民党の多くが容認した。それだけならまだしも、その居座りを強行した当の本人が、わずか1ヵ月余りで理由にもならない理由をあげて、政権を放り出したのである。そしてそんな人物が今年に入って、恥ずかしげもなく「勝手に復権し」、いや勝手にそう思い込み、麻生のアドバイザー面して、また永田町を闊歩し始めた。どの面下げて、国民はそう思ったし、また自民党の議員の多くもそう感じたはずだと思うのだが、しかしそんな安倍に対して諫言を行う人物すらついに現れなかった。

にも関わらず、安倍その人は、全国的自民党大敗の中、悠々と当選を果たした。後を襲って、これまた自民不信に拍車をかけただけに終わった福田康夫も、彼らを総裁そして首相に送り込んで、キングメーカー面して自民党を牛耳っていた森喜朗も民主党女性候補の猛追をかわして当選した。苦戦を伝えられた古賀誠も生き残り、小選挙区では落選した他の何人かの「派閥領袖」達も、結局は比例で復活してしまった。

「手痛い敗北を喫した軍隊でも、結果、無能な将軍共が一掃され、有為な若手によって再建されることは多々ある。」

選挙戦中、自民党苦戦の評にこう述べていたのは軍事評論家の田岡俊次氏だが、皮肉にも一掃されたのは「有為な(?)若手」の方であり、「無能な将軍」達は尚、全く懲りることなく、自民党の「再建」に奔走すべく意欲満々の様子である。まさに「最悪のシナリオ」と言ったところではないか。

というところで、続きはまた改めて。

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