そしてまた、戦いは続く
2年前の9月14日付で「本当に情けないの一言」というタイトルの記事を書いた。その書き出しはこんな風であった。
『神宮球場に行って来た、拷問のような試合だった。』
その直前、天王山と意気込んで迎えた東京ドームでの首位阪神との3連戦に、力負けとしか思えない3連敗を喫したばかりで、かなりデスパレートな気分に陥っていたところに、目を覆うばかりの無気力な試合を見せつけられ、怒り心頭に発したまま、パソコンに向かったのを覚えている。駄文で恐縮だが、もう少し引用させてもらう。
『今日の試合を見て痛感したことは、このチームはやっはり来年も再来年もずっと優勝できないだろうということだ。(中略)このチームを立て直す為にはどうしたらいいのか、もはや筆者にはわからない。・・・』
ところがその半月後、ジャイアンツは4年ぶりのリーグ優勝を果たす。それどころか「来年も再来年も」優勝するのである。しかし2年前も昨年も、優勝確実な位置に居たタイガースの失速をとらえた劇的な逆転リーグ優勝ではあったが、一昨年はCS、昨年は日本シリーズで涙を呑み、悲願の日本一奪回は果たすことはできなかった。
そして迎えた今年、2009年は完勝であった、ジャイアンツもそして原辰徳も。これ以上、望むべくもない完璧な1年であった。画竜点睛を欠くとすれば、交流戦の優勝を逃したことで、もしこれも獲っていれば、申し分のないパーフェクトだったのだが、まぁそれは来年の楽しみにとっておきましょうか(笑)。
今は何を言ってもお許し願いたい、ジャイアンツは2009年の日本プロ野球界の王者なのだから。しかし、どんなに強い勝ち方をしても、それはその年限り。どんなにぶっちぎって勝ったとしても、来年のペナントレースでハンデがもらえるわけでもなく、12球団が横一線に並んだ、新たな戦いがスタートする、いや既にスタートしているのである。ノー天気ことを言っていて、浮かれていられるのも今のうちなのである。
来年、2010年のシーズン、ジャイアンツは久々にセ5球団だけでなく、パ6球団を含んだ全プロ野球チームの目標とされ、迎え討たねばならない立場となった。むろん、キャンプイン前日に、今年から5連覇をと、高らかに宣言した原監督にとっては望むところかもしれないが、その道が決して平たんな道であるはずがないということは、もちろん言うまでもない。
人間は誰でも平等に1年ずつ歳をとる、そして1年という時間は、人によってその意味が全く違ってくる。例えば坂本勇人や松本哲也にとってのそれは、飛躍、成長の時となり得るが、小笠原道大やアレックス・ラミレスにとってはよくて現状維持、忍び寄る衰えとの戦いの時間となる。生身の人間で構成されている集団である以上、例え全く顔ぶれであったとしても、昨年と同じ力を発揮できることはあり得ないのである。
いや、全く同じ顔ぶれということもあり得ない。7年ぶりに行われた、日本一になった年にしか許されない銀座での優勝パレード。7年前に松井秀喜がそれを花道にジャイアンツを去ったように、今年も同じようにメジャーへの挑戦を理由に、投手生え抜き最年長である高橋尚成がチームを去って行った。そのチャレンジを無謀、身の程知らずと嘲笑う向きもあるが、正当な権利を行使した尚成が非難される必要がどこにあろう。「グットラック」、彼に送る言葉は、ただこの一言である。
たぶんに帳尻合わせの感はあったが、球団創立以来、日本人の2ケタ勝利投手を絶やした事がないという伝統を辛うじて守ってくれ、防御率も2点台を記録した尚成の離脱が痛くないはずはない。売り物である救援陣に比べ、先発特に日本人のそれの貧弱さはシーズン中にも再三指摘されてきた上に、貴重な日本人先発左腕が退団したのである。久保裕也、木佐貫洋、福田聡志、野間口貴彦、金刃憲人といった本来なら、とうに先発の柱として活躍しているべきドラフト上位投手達が、いずれも未だに1軍に定着すらできず、上原浩治に代わって、名実ともにジャイアンツのエースたるべきだったはずの内海哲也の今年の体たらくはなんだったのだろう。ここ数年の登板過多がたたったか、西村健太朗も、シーズンをほぼ棒に振り、筆者が期待度ナンバーワンに推した辻内崇伸も、とうとう1度も1軍に姿を見せることはなく、わずかにただ1人年間を通して1軍のローテーションを守った東野峻と中継ぎで一時、光るものを見せ、来シーズンは背番号が一気に92から一気に15に躍進する木村正太が合格点か。
MVPが2年連続のラミレスというのはまぁ妥当だろうが(そう言えば、この人を獲る時も止めろって言ったんだよなぁ。今更ながらこの眼の節穴ぶりには、もはや嘆く言葉もない)、本当は「ゴンザレスを獲ると決めた人」なのかもしれない。後半は完全にエースとなったゴンザレスがもしいなかったら、ペナントレースの行方は相当違ったものになっていたことは間違いない。だが、それにしても、この活躍は出来過ぎとしか言い様がなく、来年の反動は怖いし、グライシンガーも終盤のケガによる離脱を差し引いても、成績は年々下降気味。オビスポの変身ぶりには、目を見張るものがあり、来年の更なる飛躍は期待できるものの、外国人枠の制限による彼らの使い分けには、また頭を痛めることになろう。
一方、今や他球団垂涎の堅固さを誇るまでに至ったリリーフ陣だが、来年はここに更に元ロッテの守護神の小林雅英が加わるという情報がある。鬼に金棒と言いたいところだが、今年全く鳴かず飛ばずに終わったM中村の例もあり、メジャーをクビになって日本に舞い戻らざるを得なかった小林の力は未知数だし、豊田清も来年は39、無理はきかない年になった。オフに手術をするクルーンも37歳、一説には来季限りでの引退もささやかれる。
原監督が未来のストッパーと期待する越智大祐も、今年は後半打たれるケースが目立った、このオフにどういう風に立て直すか。逆に抜群の安定感を誇る今年の最優秀中継ぎ投手の山口哲也を来季は先発に回す構想があるという。リリーフする山口しか見たことが当方としては、彼にその適性があるのかどうかは、全くわからないのだが、まぁ阪神の久保田のように、潰してしまっては元も子もない。原監督の大胆な構想は果たして実現するのか、鍵は今年後半、ややリリーバーとして結果を出した観のある野間口と金刃が握っているかもしれない。あと中村さん、来季は少しは意地見せてよ!
尚成の穴を埋めるのはその山口なのか、それとも今年プロ入り以来初めて、シーズンを無事に過ごした辻内か。2軍でローテーションを守り、それなりの成績を残した辻内を、しかし原監督は1度も1軍に上げようとはしなかった。力不足という判断もあったのかもしれないが、今年1年は「温存」し、来季の飛躍にかける原の決断と見るのは、筆者の辻内びいきが過ぎるか。現時点で、目立ったのは未定の小林以外は中日をクビになった中里を獲ったくらいで、即戦力となりそうな補強はあまり行われていない。現戦力の整備、育成が来季のポイントになるのは間違いなく、尾花が去った後の斎藤、香田、小谷、木村の1、2軍投手4コーチの手腕もまた、試されることになる。
ということで、続きはまた後日。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)


最近のコメント