連日の暑さは事実上の梅雨明けを思わせる。いろいろあったが、北京五輪も目前に迫ってきた。いよいよ今日には、注目の「星野ジャパン」のメンバーも発表の運びとなるそうだ。野球にとって最後の五輪、なんとしても金メダルをと、気温同様にヒートアップ確実の世相の中、ひねくれているのか、変わり者なのか、筆者はずっと気になっていることがある。それは
「来春に迫ったWBC第2回大会でジャパンチームの指揮を執るのは一体誰なのか?」
ということだ。五輪も始まってないうちにWBCの心配をしても仕方ないと言われるかもしれないが、少なくとも日本プロ野球機構はそれでは困るのである。
現実として、五輪の公式競技に野球が復活することはまず、ないだろう。それがわかっているから「最後の五輪」でなんとしても金を獲って有終の美を意気込むのはわかるし、また当然のことだろう。ただ、それを目指してヘトヘトになった抜け殻のような頭で、さあ次はWBCだと、やっと考え出すような存在ではWBCは絶対にない。
様々な非難を受け、また困難、失敗を重ねながらも、「野球の世界一決定戦」として、とにもかくにもスタートを切ったWBC。五輪を失う野球という競技にとって、WBCこそが、今後世界に向けて、その存在を発信できる唯一最大の場になるのは間違いない。この大会の今後が、野球という競技の未来を担っていると言っても、全く過言ではないだろう。
そしていうまでもなく日本はこの大会の輝かしい「初代チャンピオン」である。これはもう、他のどんな国も手にすることができない永遠の日本の栄誉である、しかしそれも大会そのものが存続しなければ、化石と化して、歴史の中に埋もれてしまうだけだ。日本はなんとしても、この大会を発展、永続させる義務も負ったのである。
あの歓喜の時から、はや2年半が過ぎようとしている。五輪やサッカーのワールドカップと同様に、4年に1度の開催となるWBCは、しかし第2回大会は3年間隔で開催されることになっており、その時までもう、半年あまりに迫っているのである。五輪にばかり、目をとられているが、残された時間はすでに少ない。
サッカー界がワールドカップや五輪を見すえて、4年サイクルで動いているのに対して、野球界が常に、その場しのぎのような対応を繰り返しているだけという批判はよく耳にする。五輪とワールドカップでは出場対象選手が違うサッカーに対して、野球ではそれほどの大きな違いはないのだから、本来なら前回のWBCから今年の五輪そして、次期WBCまでを見据えた動きが日本プロ野球機構になければならないはずなのだが、残念ながら全くそんな構想は見えてはこなかった。
いやそれでも、今現実に北京五輪を戦う「星野ジャパン」は活動し、まもなく正式にチーム結成される。目の前に「ジャパンチーム」はあるのである。選手は多少の変動があっても、闘将男仙一が
「よっしゃ、WBCまでは俺に任せておけ!」
と胸を叩いてくれればよく、内々にそういう話が出来ているならそれはそれでいいのである。
ところが実際には、先手を打つかのように星野は
「北京まで、WBCは絶対にやらない。」
と何度も公言している。北京の結果も出ないうちに、先のことなんかということもあろうし、星野の去就にはいろいろ生臭い噂も絶えない。そしてなにより、「日の丸を背負う」ことに対するプレッシャーはこれ以上はごめんという本音もあるのだろう。
オールジャパンという存在を過去に率いたことのある人物は長嶋茂雄、王貞治そして星野仙一の3人だけだ。日本にはONしかいないのか、そう揶揄されても、その監督としての手腕に?マークがついても、誰もが経験したことのなかったオールプロのジャパンチームを率いる人材は、日本の野球界には長嶋、王しかいなかった。そして2人はその激闘とプレッシャーにいずれも病に倒れた。その後を受けた星野とて、健康体ではない。
星野の侠気にかけて、球界の総意で彼を口説くことができたなら、それでいい。本来なら、星野が指揮を執るべきものだと筆者は思う。しかし、あくまで星野が、首を縦に振らなかった時、後の手当てが日本プロ野球機構に出来ているとは、筆者にはとても思えない。
広岡、上田、森、古葉といったかつて名将の誉れ高かった面々もすでに、過去の人となってしまった。73歳、なおも現役監督として頑張る野村克也は、手腕は申し分ないにしても、いかに元気とは言え、百戦練磨の彼とて全く経験したことのない未知のプレッシャーにとび込む勇気と気力があるだろうか?星野ジャパンには田淵幸一、山本浩二という2人の監督経験者がいるが、彼らに頼もうという人はあまりいないだろう。
あとは・・・いない、悲しいくらいにいない。星野から下の世代もONから星野までの世代も本当にいない。監督をやっても、みんな2、3年で挫折したような連中ばかり。とても「オールジャパン」を託せるような人材は見当たらない。
アメリカと並ぶ野球大国を自任する日本にサッカーのように代表監督を外国人に委嘱するという発想は恐らくないだろう。しかし、手腕や日本をよく知っているという意味で、バレンタインは面白いと思う。だが、彼は現実に千葉ロッテマリーンズの監督であり、また外国人である以上、選手とのパイプ役になる人材をつけねばならず、その人選は意外と難しいと言われるとうなづけるものがある。
とすれば・・・結局、就任以来、安定した成績を収めている現役監督である岡田彰布か落合博満あたりしか見当たらなくなる。この2人が来年も揃って、阪神、中日を指揮していることはないのではないか、つまり優勝を逃した方が辞めている(まぁ今のところは落合ということになるのだろうが)と思われるからだ。だが、それも結局、ペナントレースの行方がはっきりするまで、動ける話ではなく、2人が退団する保証も全くないのだから、厳しい話ではある。もう1人、あの人がいるにはいる。あの人とて、監督暦4年のうち、日本一1回、リーグ優勝1回という「輝かしい」実績の持ち主なのであるが・・・しかしその手腕を評価する声はあまり聞かれない。ただ、あの人が今季限りで退団、後任に星野か落合という噂はずっとあり、そうなるとひょっとしたら・・・。
ところで、ニュースを見ていたら、常総学園の木内監督が現場に復帰したのだそうだ。77歳、なおもかくしゃくで魅力たっぷりの木内さんの姿を見ると、何も言えなくなってしまうのだが、それにしても、現役を退いて5年も経ったご老体が、どんな事情があったのかは知らないが、今更なんでまた復帰するに至ったのか(ちなみに一緒に復帰した腹心のコーチはなんと、79歳だとか)、日本という国は、そこかしこで、人材払底を露呈してしまっているなぁと改めて実感せざるを得ない一日であった。
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