武道館へGO!
去る13日は金曜日で大安、そんな複雑微妙な(?)日を、筆者は指折り数えて待ちわびていた。いい年したオッサンが、「コンサートデビュー」を果たすのである、場所は日本武道館、公演アーチストは「アリス」である。
アリス、本当は「ALICE」と表記しなければいけないらしいが、筆者はなんとなくなじめず、まためんどくさいので、「アリス」で押し通させてもらうが、70年代後半のニューミュージック(この響きが既に古い)界を席巻し、80年代に入った途端、あっさりと活動を停止してしまったこのグループは、思春期にアイドルタレントのポスター1枚自分の部屋に貼ったこともなく、特定のタレント、グループというものに応援するということに全く無縁な、ひねくれた青春時代を過ごして来た筆者が、ただ1つ「ファン」であることを自覚していた人達であった。
彼らが活動していた時期には、コンサートに行くなどという年齢ではなかった筆者は、その後も人の歌を生で聞いてみたいという欲求が生じることもなかった。いや、彼らが唐突に再始動を宣言して全国数か所でコンサートを開いた時には、なんとしても行きたいと思ったが、日程的に全く無理であった。NHKで中継されたファイナルステージでベーやんこと堀内孝雄は
「またやらにゃ、しゃぁないな。」
と言っていたが、その後その気配もなく、生アリスを見るのは見果てぬ夢だったと、すっかり諦めきっていた筆者が耳を疑うようなニュースが飛び込んで来たのは、昨年の暮れだったろうか。
「2009年アリス復活、全国ツアーを本格的に実施。」
というのである。日程を見ると本当に「ツアー」、そしてその会場の1つに地元ともいうべき大宮ソニックシティの名を見つけた時には、大袈裟ではなく小躍りした。ついに時来たれり、この千載一遇のチャンスを逃しては一生後悔する。会社をズル休みしてでも絶対行くと固く決意し、チケット発売当日、パソコンの前に陣取ったのはよかったが、筆者の動きの鈍い旧式パソコンでは、全く太刀打ちできず、あっという間のソールドアウト。為す術なしとはこのことであった。
それでも天は我を見離さなかった、あまりの人気に追加公演決定、それもに日本武道館!まさにラストチャンス、祈るような気持ちで先行販売に申し込む。この手の抽選に当たった試しがなく、半分以上は諦めていたら、なんと当選メールが到着。実際にチケットを手にした時の感動は、これからも忘れることはないであろう。
そして当日、事件が起こる。万が一にも紛失してはなるまいと、到着した封筒のまま、引き出しにしまいこんでいたチケットを出発1時間程前にいよいよ切り離し、行き帰りの電車で読む本にはさんでおいた。少し経って何気なく見ると、2歳になる次男が件の本をいじくりまわしている。びっくりして取り上げると、なんとないのである、大事な大事なチケットがである。妻だけでなく5歳の長男まで加わっての大捜索、といってもそんな広い部屋でもないのに、どうしても見つからない。ふざけて破ってしまったのなら残骸があろう、しかし本当に跡形もなく消えてしまったのである。最初はすぐに見つかるとタカをくくっていた筆者も、次第に焦りの色が濃くなる、そして時間は無情に過ぎていく。
とうとう開演には、どう頑張っても間に合わない時間となってしまった。この結末はなんなのだと、へたり込んだ筆者を尻目に、妻はチケット会社に掛け合ってくれ、売上確認がとれたから再発行するとの言質を引き出してくれた。君は三国一の嫁さんだ!!!地獄から生還した思いで家を飛び出した、いざ武道館へ、武道館へ!
九段下の駅から走った、初めての武道館は本当に遠かった。遅刻して必死の形相の筆者にダフ屋が声を掛けてくる。あんな時間に、ダフ屋からチケットを買う奴がいるのだろうかと思いつつ、武道館に飛び込んだのは開演から20分ほど過ぎた頃だったろうか。
既に盛り上がりを見せている会場内を案内されて驚いた。チケットが当たったことに有頂天で、席がどの辺かなんて気にもしていなかったのだが(というより、番号を見てもさっぱりわからなかった)、着いてみればアリスから見て左手の前から5列目。音響装置が邪魔でドラムを叩く矢沢透の姿は残念ながら全く見えないのだが、谷村新司と堀内孝雄、筆者が日本音楽史上最高のツインボーカルと信じる2人の雄姿はバッチリ、これを見逃してたら本当に、一生後悔しなければならないところであった。
舞台上ではチンペイさんは座り、ペーやんが立ち、そしてキンちゃんはドラムからコンガへと担当替えでようやく筆者に視界に入って来るという初期のアリスのスタイルで展開。いわゆるフォーク系の静かな歌が続き、正直筆者もあまり知らない曲が続く。合間には初恋談義で会場を沸かせ、うなづかせ、そしてキンちゃんのソロへとつなげていく。
アリスのコンサートの名物とも言えるキンちゃんの歌。お世辞にも旨いとは言い難いあの歌声はしかし、1回聞くともう忘れられない、不思議というか妖しい魅力を持っている。アリスは確かに帰って来たのだと改めて実感させてもらった。
「秋止符」以外はいわゆるヒット曲はなく、しっとり聞かせることに徹した前半、ここでチンペイさんが意外なことを言い出す。今回の再始動で作られた唯一の新曲「GOING HOME」のバックコーラスを全国ツアーに来場した客全員で務めてもらう為に、これから音取りをするのだという。会場によってはウーだのアーだのというコーラスだけの所もあったらしいが、我々の「担当」はちゃんと歌詞がある。チンペイさん、べーやんの指導の下「リハーサル」を何度か繰り返した我々は、おだてられるまま結構一所懸命に歌ったのである。
デビュー曲「走っておいで、恋人よ」をトリに前半は終了、15分の休憩が入る。コンサートに休憩が入るものだとは、思ってもみなかったが、暗い中会場入りしたので気づかなかったが、明るくなって納得した。筆者は明らかな「若手」、というのが言い過ぎならしかし平均年齢は明らかに下回っていた(笑)。これじゃ演者含めてもたないや。
そして後半、いよいよおなじみのヒット曲のオンパレード。ここはもう年を忘れて盛り上がるしかない!しかし後半のオープニングに「BURAI」を持って来たのは、ちょっと驚いた。この歌は、81年の活動停止後、87年に一時的にアリスを復活させた時の歌。筆者はなかなか好きなのだが、この時の活動再開はどうやらベーやんにはかなり不本意だったらしく、この後、チンペイさんとの距離をかなり露骨に広げていく。そんなこんなのせいか、前回2001年の復活の時は封印されていた形になっていたのだが、やっぱりいい。「冬の稲妻」「ジョニーの子守唄」「今はもう誰も」・・・もう止まらない。筆者の左腕には前列の見知らぬおばさま方から一緒に盛り上がりましょうといただいた蛍光の腕輪がはまっている。盛り上がってるぜぇい!
楽しい時間は瞬く間に過ぎて行く。大盛り上がりの会場のテンションを1回冷ますように、チンペイさんが「帰らざる日々」を熱唱し出す。ファンなら先刻ご承知だがこの曲から「遠くで汽笛を聞きながら」そして「チャンピオン」とつなぐのがアリスのコンサートのフィニッシングロード。おいおい、もう終わりかい、まだ物足りないぜと思いながらも曲は進んで行く。
頼みはアンコールだが、少々焦らされて再登場したチンペイさんは
「じゃもう一曲いこか。」
エ~一曲ぅ、と思う間もなく流れてきたイントロを聞いて、筆者はまた少し驚いた。それは「さらば青春の時」、かつてアリスの面々は自分達の曲で特に好きなものはと尋ねられると必ず、帰らざる日々、遠くで汽笛を聞きながら、そしてこの曲を挙げていたものである。にも関わらず、なぜか前回やはり披露してくれなかったこの曲をここで持ってくるとは・・・。実はこの曲こそ、ひょっとしたら数あるアリスの曲の中で、筆者が1番好きかもしれない曲。感動したなぁホントに。
アンコールは本当に、この一曲で終了、明日のファイナルに備えて力温存したかな、なんて勝手なことを考えてしまったが、しかし大袈裟ではなく至福の一時であった。牛歩戦術そのままでやっと会場を出ると、外は激しい雨。しかし、まだやることがある。
そう、記念すべき我がデビューCD(笑)の予約とお土産グッツの購入、べーやんがテレビで冗談のように言っていた「冬の稲庭」が本当に売っていたのには笑わせてもらった。結局こちらも長蛇の列で小一時間をゆうに震えながら過ごす羽目となり、やっぱりあの辺で止めてくれてよかったと痛感しながら、しかし本当に幸せな気分で家路についたのである。
アンコール前の最後の2曲、周りは当然ノリノリで、また一緒に口ずさんでいた。しかしあえて筆者は手拍子もせず、じっとチンペイさんとベーやんを見ていた。メンバー全員が還暦を迎えたのを機に、スタートした今回のツアー。ベーやんは我々はまた戻ってくるなどとリップサービスをしていたが、現実としては、今後イベント的な復活はあっても、今回のような本格的なツアー活動など、まず考えられないだろう。また、筆者が見に来られるとも限らない。最初で最後になるであろうアリスの姿をしっかり、自分の目に焼き付けておきたい、そう思ったからだ。
そして今日、パソコンを開いて、思わずひっくり返った。なんとなんと
「来年2月28日、アリス東京ドーム公演決定」
なのだそうである。べーやんの言ったことは本当だったのだ、いやぁまさにサプライズ。このまま、本格的にグループ活動再開とは思わない、本当にそれがファイナルなのかもしれないが、しかしやるもんだねぇ。日曜とあって筆者は絶対に行けないが、でもひょっとしたらまたアリスに会えるのかもしれない、そんな希望が生まれたニュースであった。成功期待してます、それにDVD発売もね!
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)

最近のコメント